最近、台湾を訪問して思うことは日本でよく見る企業をあちらこちらで見ることである。約10年前はあるにはあったが、現在ほど街中にはなかった。
10年前といえば、日本はどちらかというと中国投資が主であった。しかし、中国投資には多大なリスクが伴うことは今や当たり前になっており、中国からの撤退が相次いだ。そこで、親日的と言われる台湾に矛先が向いたのであろう。
ところで、台湾という国はわずか人口2300万人の国である。日本の約1/5に過ぎない。それでも台湾に進出する企業が増えているのはなぜであろうか。これはやはり日本の将来に対する不透明感からくるものではないかと予想される。筆者が台湾に行く度に感じるのは、人々や街、店の活気である。特に食堂や書店、飲料店などの小さい店が商店街のように数多く見受けられ、どこの店も人で賑わっているということである。かつての日本もそうであったが、零細・中小企業が多いということは、それだけ景気の良い証拠である。現に、1人あたりのGDP平均は日本を上回っており、経済成長も日本の何十倍である。
そして、なにより人々が元気であることが将来性を予感させるのである。こういうところに日本企業は魅力を感じ、台湾進出を決めるのだと思う。
一方、台湾は日本が好きで日本製品を大変好んでいるということは、本当だろうか?
筆者はもう80回ほど台湾に行っており、現地で様々な人に触れているので、わかるが日本のことをとても好きで、尊敬しており日本製品を購入することに何の抵抗感もない。だから、日本企業が勘違いするのは日本製品を台湾に導入すれば何でも売れると思っていることである。
しかし、筆者の経験上、日本製品はただ台湾に持っていくだけでは売れない。
台湾人はアンケートで日本製、韓国製、アメリカ製などの中で買うとしたら、何を買うかの?の回答では80%以上日本製であった。
しかし、日本製は売れたためしがない。もちろん、ソニーやトヨタなどのハイブランドは別である。
ではなぜ日本製は普通では売れないのか?それはよくわかりもしない他国よりも高い日本製にお金を出すほど台湾人はお人よしではないである。このあたりを勘違いして日本製品なら売れると思い、台湾進出を夢見て会社の明るい未来を描くのである。ただ、よく理解して欲しいことは台湾に行くと考えるということは、現在日本においてあまりうまくいっていないか、もしくは将来に対する不安から来るものであろうと予想されるが、ならば今のやり方をそっくり台湾に持っていっても成功などはあり得ないということを経営陣は考えていく必要がある。ではどうすればよいか?は次の項で述べる。